公益財団法人日本医療機能評価機構
理事 亀田 俊忠
近年、我が国では、急速に進む高齢化や医療技術の高度化・複雑化など、医療を取り巻く環境が大きく変化しており、各医療機関は、「最善の医療を受けたい」という根源的な願いに応えようと、日々、真摯な努力を重ねています。
例えば、医療機関が自ら医療の質の管理、向上に取り組み、進んで第三者による評価を受ける動きもその一つです。また、各学会等を中心に、診療ガイドラインを作成し、根拠に基づく医療(EBM)を実践しようという取り組みも進んでいます。一方、患者や国民の側にも、医療の質への関心が高まり、医療の質の保証や一層の向上、そして情報の公表が求められるようになってきました。
そのような中、我が国では2010年より「医療の質の評価・公表等推進事業」として、国の支援のもと、各医療団体を運営主体とする指標を用いた医療の質の可視化、向上に向けた取り組みが推進され、多くの貴重な成果が得られています。
しかし、医療の質とは何か、どのように測り、どう継続的に向上させていくのかなどについては、未だに共通理解が得られているとは言えません。また、各医療団体などで蓄積されてきた知見が全国レベルで共有される仕組みになっていないという課題もあります。
そこで、これまで培われてきた医療の質の可視化・改善などのノウハウを整理体系化するとともに、全国の医療機関でこれらを共有、深化させていくための体制、基盤をつくることを目的に、2019年4月1日より日本医療機能評価機構を運営組織として、「医療の質向上のための体制整備事業」が開始されました。
本事業では、各医療団体の枠を超えて、医療現場の質改善を支援するために、各団体の代表等を構成員とした「医療の質向上のための協議会」を発足させ、様々な検討を進めることとしております。
本事業は、決して容易な取り組みではありませんが、医療現場の自主的な質改善活動の支援を通じて、我が国の医療の質向上に貢献して参ります。
今後とも一層のご支援、ご協力をお願い申し上げます。